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カタストロフと美術のちから展

前回に続いて、東京での展覧会めぐり報告・その2です。

 

森美術館では現在、「カタストロフと美術のちから展」が開催されています。
「戦争やテロ、難民問題や環境破壊など、危機的な問題が山積する今日において、美術が社会を襲う大惨事(カタストロフ)や個人的な悲劇とどのように向き合い、私たちが再生を遂げるためにどのような役割を果たすことができるのか。」というテーマの展覧会です。

 

トーマス・ヒルシュホーン 《崩落》

 

展示は2つのセクションから成り立っていて、前半は「美術が惨事をどのように描いてきたのか」を、後半では「破壊から創造を生みだす「美術のちから」」を対象としています。
トーマス・ヒルシュホーンによる破壊現場を構築した作品《崩落》に始まり、オノ・ヨーコの《色を加えるペインティング(難民船)》で閉じる構成の中で、東日本大震災、阪神・淡路大震災、アメリカ同時多発テロ、チェルノブイリ原発事故、リーマンショック、パレスチナの問題を扱った作品などが展示されていました。

ラストを飾るオノ・ヨーコの《難民》は、来場者が壁・床・船に自由に描くことができる参加型のもので、彼らのメッセージや描いたものが「希望」につながるといった趣旨でした。

 

アイ・ウェイウェイ《オデッセイ》

 

私が一番興味を持ったのは、アイ・ウェイウェイの巨大な作品《オデッセイ》で、12mに及ぶ大画面に難民問題をテーマにした図像が古代壁画のように描かれていて圧倒されました。難民問題について、それが世界史的な課題、あるいは人類全体の課題であることを訴えているように感じました。

 

さて、2015年に、福島の帰還困難区域内を会場とした「Don’t Follow The Wind.」という企画が開催されました。参加作家は、Chim↑Pom、アイ・ウェイウェイ、宮永愛子、竹内公太、グランギニョル未来など。
これは、現在は「見ることができず」、封鎖が解除された時に初めて鑑賞出来るという、展示行為とその方法自体を世に投げかけるコンセプチュアルな企画でした。

今回の「カタストロフ展」は、それと比較して正統的な展示形式と言えます。それが決して悪いわけではなく、また参加型の作品もありましたが、客観的な鑑賞者としてどこか自分の外の出来事として観ている感じは強くしました。それはある意味「美術館」という制度の限界点なのかもしれません。

オノ・ヨーコ&ジョン・レノン《戦争は終わる》

 

実は森美術館の外部にももう一つの作品ありました。オノ・ヨーコとジョン・レノンによる《戦争は終わる》です。これは、1969年にベトナム戦争を背景に行われたプロジェクトです。もうすぐ12月を迎える、この時期にふさわしい風景だと思いました。(サトウ)

 

※掲載写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。

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